「未知の成分」含む紅麹原料、サプリ向け6・9トンが流通先不明…被害拡大の恐れ

 小林製薬の「紅麹べにこうじ」成分入りサプリメントを巡る問題で、健康被害につながる恐れが高い「未知の成分」が一部含まれる紅麹原料6・9トンの流通先の全容がわかっていない。同社の取引先だけでなく、商社を通じて別の企業にも販売されており、各社は情報収集に追われているが、どこまで被害が拡大するのか見通せない状況となっている。

 小林製薬によると、同社は2023年に紅麹の原料を18・5トン生産。自社のサプリ向け2・4トン以外の16・1トンを取引先52社に販売した。このうちサプリ向けの6・9トンの一部に、腎疾患などの症状を起こす可能性が高い未知の成分が含まれるという。残る9・2トンは、着色や風味付けに使う食品向けで、同社は未知の成分は含まれていないとしている。

 販売先52社には食品メーカーや化粧品メーカーのほか、様々な企業に卸す商社が含まれる。27日に開かれた政府の関係省庁連絡会議では、小林製薬の紅麹を原料とする製品を扱う企業は、170社以上と報告されたが、最終的な流通先は小林製薬も把握できておらず、今後さらに拡大する恐れがある。

 大阪市保健所は26日、食品衛生法に基づき、健康被害が疑われる紅麹原料について、販売先の名称や販売日、販売数量などを報告するよう同社に文書で指示した。

 これまで同社の製品以外で健康被害は確認されていないが、未知の成分が含まれるとされるサプリ向け原料を使っていた企業の危機感は強い。

 この原料を使う機能性表示食品「悪玉コレステロールを下げるのに役立つ濃厚チーズせんべい」を販売していた「ZERO PLUS」(福岡市)は27日、消費者庁に対し、機能性表示食品の届け出を撤回したと発表した。

 同社は15日から計約700袋を出荷しており、すでに自主回収を進める。「原因となった可能性が高い成分が含まれていたかどうかは調査中だが、被害の報告はない」としている。

 化粧品メーカーのノエビアもサプリ「ノエビアDHA&EPA」を回収している。13年に発売した商品だが「これまで健康被害の報告はなく、予防的な措置として回収した」という。

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