こんにちは。生きやすい人間関係を創る「メンタルアップマネージャⓇ」の大野萌子です。
人とコミュニケーションをとるときにも、自分がやりたいことを実現するためにも、「自分がなにを考えて、どうしたいのかをわかっている」ことから始めるとうまくいきます。
自分が今、どんな気持ちなのかを知ること。つまり、自分に向き合い掘り下げる作業が必要です。今、自分は悲しいのか、それともうれしいのか。敏感にキャッチすることが、自分に向き合い掘り下げるということです。それができるようになるには、普段から「自分で選んで決める」作業を繰り返すことが必要です。
そうした「自分の声を聞く」ことで自己肯定感を高める方法を、拙著『10代のうちに知っておきたい言葉と心の切りかえ術』から、一部抜粋・再編集してお伝えします。
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なぜ自分で選んで決めることが大事なのか
それは本当に小さなことで構いません。食事のメニューを決めるときに「なんでもいい」ではなく、「私はナポリタンにする」と言う。遊びにいく時間を決めるときに「合わせるよ」ではなく、「私は10時集合がいいけど、みんなはどう?」と聞いてみる。
なぜ自分で選んで決めることが大事なのかというと、「自分の人生は自分が選択していくしかない」からです。誰かに言われたからと、まわりに流されて決めてしまうと、うまくいかなかったときに「やらされたから」「そう言われたから従っただけ」と、誰かのせいにすることになります。
自分で選んでいないから、やりがいも達成感もなく、「自分の人生を楽しんで生きる」のがどんどん難しくなってしまうのです。
それでは、そうして自分を掘り下げることが、なぜ、コミュニケーションスキルを上げることになるのでしょう。
それは、自分の気持ちを把握できないと、相手にも正確に自分の気持ちを伝えられないからです。自分で自分の気持ちがわからないし、相手もあなたのことがわからないままでは、言葉のやり取りをいくら重ねても理解し合うことはできずに、信頼も生まれないでしょう。
上辺の会話で相手に相談ごとやお願いをしたところで、自分の納得できる言葉が返ってくることはありません。逆にいえば、自分が本心を伝えることで、相手もあなたを理解して、心を開いてくれるようになります。お互いに真剣に気持ちを伝え合うことができる関係を創ることができるのです。
失敗したらどうしよう、と焦ってしまう
【コンテスト前に緊張して】
マコ:明日の英語スピーチコンテスト、大丈夫かなあ。失敗しちゃったら、どうしよう……。
【ついつい考えがち……】
失敗しちゃったら、どうしよう
・こんなふうに考えてみよう!
きっと大丈夫、私はできる!
プラスのイメージで「大丈夫」と自分に声かけ
スピーチコンテストや大事な試合、受験などで極度の緊張をしていると、焦りや不安から「どうしよう」という心の声が聞こえてきます。
そんなときは、次のような方法で緊張をやわらげるようにしましょう。
ひとつは、自分に対して「大丈夫、私はできる」とポジティブな声かけをしてあげること。自分に「できる」という暗示をかけることで自信を取り戻し、いつも通りの実力が発揮できるようになります。
心の中でつぶやくだけでもいいですが、声に出すと耳からも「大丈夫」という言葉が入ってきて、より効果が期待できます。
もうひとつは、体を動かすことです。緊張しているときは心だけでなく、体もこわばっています。体のこわばりが自律神経に影響して、さらに緊張を高めてしまうという悪循環に陥ってしまうのです。体を動かすことで、自然と心もほぐれてきます。
歩く、階段の上り下りをする、簡単なストレッチをする。手をグーパーするだけでも十分です。
「そんなことで?」と思うかもしれませんが、体と心はつながっているもの。体がほぐれることで心の緊張がほどけ、気分もすっきりしてきます。
体を動かすことは、緊張したときだけではなく、心配ごとがあったり落ち込んでうつっぽくなってしまったときも効果的。ぜひ覚えておくといいでしょう。
また、成功した姿をイメージするのもおすすめです。一流のスポーツ選手ほどイメージトレーニングを重視しますが、それはイメージトレーニングが結果につながるとわかっているから。
緊張するのは、ダメだったときのことを想像しているのが原因です。ネガティブな結果を繰り返し想像するほど緊張が高まり、結果的に失敗を呼び寄せてしまいます。失敗をイメージするのではなく、できることをイメージしながら「きっとできる。大丈夫」とポジティブな声を自分にかけるようにしましょう。
SNSの楽しそうな投稿がうらやましい
【クラスメートが遊びに行ったときのSNS写真を見て】
ヒロト:いいなあ、みんな、楽しそうで。うらやましいなあ。僕なんて、誘ってももらえないし……。
【ついつい考えがち……】
いいなあ、うらやましいなあ
・こんなふうに考えてみよう!
僕はなにをうらやましいと思っているんだろう?
point なにがうらやましいのか、心の声を聞く
楽しそうにしているSNSの投稿を見て、自分だけ置いてきぼりになったようなうらやましさを感じたり、ねたましく思うことは誰でもよくあることです。
最初に理解しておいていただきたいのは、SNSの投稿は100%のリアルな世界ではなく、あくまでもその一部を切り取って加工したものだということです。
キラキラと楽しそうに見えるのは、そういうイメージを演出しているからにほかなりません。現実かどうかわからないことにとらわれて、思い悩む必要はないのです。
SNSの投稿がうらやましくて落ち込んでしまうときは、このことをまず思い出すようにするといいですね。
自分の本当の感情に耳を傾けて
また、キラキラした投稿に対して、「いいなあ」「うらやましいなあ」と思うときは、「自分はなにに対してこんなに嫉妬したり、うらやましいと感じているんだろう」と、自分の気持ちを掘り下げてみてください。
「うらやましい」という気持ちの奥には、もっと違う感情があるはずです。このケースでは、自分が誘ってもらえなかった「悲しみ」こそが、本当の心の感情です。
自分にきちんと向き合い、「誘ってもらえなくて悲しいんだな」と自分の本心をきちんと知ることはとても大切なことです。自分の悲しみを自覚することは、痛みを感じるつらい作業でもありますが、その気持ちにふたをしてしまうと、自分の本当の感情にどんどん気づけなくなってしまうのです。
自分がつらい、悲しいと感じていることをあえて無視するクセがついてしまい、心が疲れてしまっていることすらわからなくなってしまう。その結果、ある日突然心が折れて、心の病気になってしまうケースはとても多いのです。
そんな心の危機を防ぐためにも、「うらやましい」「ねたましい」などのネガティブな心の声も正直に話せる存在や居場所を創れるといいですね。
心の声を吐き出すことで、上手に気持ちのバランスをとれるようになります。
このように、「自分の声を聞く」ことは、よりよい人生を送るための必須のスキルであり、ひいては他者を理解することにもつながります。ぜひ、よりよい人間関係を創るうえでのヒントとして役立てていただければ幸いです。