アリオ閉店、区役所建て替え、宮城テレビ移転… 仙台・泉中央はどう変わる

仙台市地下鉄南北線の泉中央駅(泉区)周辺に変化の波が押し寄せている。1月に大型ショッピングセンター「アリオ仙台泉」が閉店し、地元経済関係者らは空洞化を懸念。一方で民間ビル新設と併せた泉区役所建て替えや、宮城テレビ放送の宮城野区からの本社移転計画など好材料もある。アリオ跡地の利用を含め、官民が連携し活性化策を描けるかどうかが問われそうだ。(池田隆平)

アリオは住商が検討進める

 駅前の「顔」として31年間営業した商業ビルは、真っ白な屋上看板を掲げたまま静まりかえっている。1月末まではセブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のアリオ仙台泉が入居していた。

 土地の一部と建物を所有する住友商事が今後の利用について検討を進めている。駅前の一等地で再開発などが進むかどうかに注目が集まる。

 駅周辺の商業施設でつくる泉中央商栄会の大久保博信会長は「広い駐車場がある周辺スーパーの利用者が増えている。アリオ跡地に商業施設が開業しなければ、買い物客の駅前離れが進みかねない」と指摘する。

区役所新庁舎は地下道で直結

 泉区は商圏人口の縮小傾向も課題となっている。1月1日時点の推計人口は2017年から8年連続でマイナスを記録。減少幅は8年間で約7000人に及ぶ。新型コロナウイルス禍の影響もあり、泉中央駅の22年度の利用者はコロナ禍前の19年度に比べ15・3%減と回復途上にある。

 市は駅周辺の活性化を図ろうと、民間と連携し区役所建て替えを進める。三菱地所など8社グループが整備を担う新区役所は26年完成を予定する。地上5階、地下1階の新庁舎と、泉中央駅を地下道で直結させてアクセス向上を図る。

 敷地内には民間ビル2棟も整備する。東北労働金庫などが入る8階建てビルと、14階建て賃貸マンションを予定。2棟とも低層部にギャラリーやカフェなどを誘致する構想がある。敷地中央には約3000平方メートルの広場を設ける。泉区泉中央地区活性化推進室の熊谷和典室長は「民間商業施設と連携してイベントなどを開催し、にぎわいを生み出したい」と話す。

宮城テレビは30年前半をめどに移転

 駅周辺では民間企業も開発に動く。大型商業施設セルバ南側の民間駐車場(約6150平方メートル)の土地は、21年に宮城テレビ放送が住友商事から取得した。同社は1970年の開局時から宮城野区日の出町に構えていた本社を、2030年代前半をめどに移転・新築する予定だ。担当者は「地元企業として活性化に貢献したい」と説明する。

 地元の商工関係者は、宮城県大衡村で27年の稼働開始を予定する半導体工場の経済効果にも期待する。台湾の力晶積成電子製造(PSMC)とSBIホールディングスが新設する工場では稼働時に450~500人が勤務する予定。約半数は台湾から即戦力として派遣される見通しで、住宅需要の高まりも見込まれる。

 泉区などの商工業者でつくるみやぎ仙台商工会の村上克彦参事は「泉中央も通勤圏になる。駅を中心に七北田公園などと一体的な街づくりを進め、魅力を高める必要がある」と言う。

 官民の開発計画や半導体工場新設はいずれも中長期的な事業となる。地元不動産業者は「建築費の上昇が区役所建て替えなどに影響する可能性もある。周辺道路の渋滞といった課題もあり、行政の街づくりの手腕が問われる」と指摘する。

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