宮城県大衡村への半導体工場建設計画が事実上白紙になったことを受け、開会中の宮城県議会にも衝撃が広がっている。「半導体シフト」を敷き始めていた地元経済界への影響や、「もっと早く知りたかった」との嘆き節が漏れた。
「率直な受け止めはどうか」。1日の一般質問に登壇した最大会派「自民党・県民会議」の菊地恵一氏。SBIホールディングスと台湾・半導体受託生産大手、力晶積成電子製造(PSMC)の提携解消を踏まえ、質問を急きょ追加した。
「極めて残念」とトーンを落とす村井嘉浩知事。提携解消の背景がまだ判然とせず、菊地氏は「知事の失点ではない。再挑戦を」と慰めるしかなかった。
同会派の杉原崇氏は「週17便の仙台-台北線が減らないか」と懸念。村井知事は「まだ工場はなく、影響はない。(工場完成後に)増えると期待した人にとってはダメージなのだろう」と素っ気なく返した。
事業白紙化が発表される前日の9月26日の代表質問で、共産党県議団の金田基氏は半導体工場について「国の補助金を前提にしているが、大丈夫か」と指摘。村井知事は「事業者次第だ」と述べるにとどまり、危機感を一切漂わせなかった。
金田氏は「まさか本当に事業がなくなるとは。肩すかしのやりとりになってしまった」と困惑した。
「間抜けな形になった」と苦笑したのは自民会派の渡辺勝幸氏。同じく代表質問に立ち、工場誘致を実現した知事の手腕を持ち上げていた。「早く知りたかったが仕方がない。これまでの努力が無駄にならぬよう、県と議会が結束しなければならない」と強調した。
PSMCは8月の取締役会で計画の中断を決めていた。自民のベテラン県議は「県は本当に撤退の情報を得られなかったのか。疑えば切りがない。国も早く地元に伝えてほしかった」と不満を漏らした。