RSウイルス感染症が各地で猛威を振るっている。国立感染症研究所がまとめた10月27日から11月2日までの週の全国の患者報告数(小児科定点医療機関約3000か所)は、今年に入ってから最多となった。特に関東地方で感染が拡大しており、患者が大幅に増えた自治体では警戒を強めている。【新井哉】
10月27日から11月2日までの週の全国の患者報告数は、前週比27%増の3423人。2週連続で増加し、RSウイルスの発生動向調査を始めた2003年以降の同期比で2番目に多い報告数を記録した。
都道府県別の患者報告数は、東京の286人が最も多く、以下は大阪(224人)、愛知(176人)、熊本(164人)、広島(154人)、兵庫(139人)、福岡(138人)、埼玉と神奈川(共に127人)、宮崎(112人)などの順だった。
前週比1.7倍の報告数を記録した埼玉県では、幸手保健所管内で前週に比べて3倍超の報告があった。東京都でも前週の報告数を上回っており、八王子市や多摩小平、世田谷、荒川区、江戸川などの保健所管内で多かった。都内の年齢別では1歳以下が全体の7割超を占めた。
神奈川や千葉、群馬、栃木、茨城の5県でも患者報告数が軒並み増加した。8月中旬ごろから増加傾向となっている神奈川県は「引き続き、発生動向に注意が必要」と指摘。せきやくしゃみなどの飛沫感染に加え、汚染された手指で目や鼻、口を触ることによる接触感染も多く見られることから、マスクの着用や手洗いといった予防策の徹底を求めている。
RSウイルスは、呼吸器感染症の1つで、感染から2-8日後に上気道炎、気管支炎、細気管支炎、肺炎などの症状が現れる。患者のほとんどは軽症で済むが、小児を中心に重症化するケースもある。