SBIとの提携解消、理由は「台湾の証券取引法に抵触」 PSMCが8月に判断 宮城・大衡の半導体工場の計画白紙化

 宮城県大衡村への半導体工場建設計画が事実上白紙となったことを巡り、台湾の半導体受託生産大手、力晶積成電子製造(PSMC)がSBIホールディングスと提携を解消した理由に、台湾の法令への抵触を挙げていることが30日、関係者への取材で分かった。

 PSMCは、そもそも工場の運営に主体的に関わる予定はなく、日本の補助金交付要件のために長期的な操業を保証すると、台湾の証券取引法に違反してしまうと主張した。SBIとは認識が異なるとみられる。

 PSMCが9月27日に出した台湾メディア向けの声明で明らかにした。宮城県での事業は、工場建設のコンサルティングや人材育成のほか、半導体の製造技術を提供してサービス料を徴収する計画だったと説明。工場の運営会社JSMCホールディングスをSBIと設立したものの、出資をする予定はなかったとした。

計画中止の決定、SBIにも書簡送る

 日本政府は補助金の交付要件として、量産を10年以上継続することを保証するように求めたが、台湾の株式市場に上場しているPSMCは「長期の操業を保証すれば、証券取引法に抵触する」と判断した。8月の取締役会で計画の中止を決定。担当者を経済産業省に派遣して報告し、SBIにも書簡を送ったという。

 PSMCとSBIが昨年10月、東京で開いた工場建設発表の記者会見では、SBIが主に資金調達を担い、PSMCは技術や人材を提供し、JSMCが工場を建設・運営すると説明した。JSMCへの出資比率は両社合わせて50%超とし、残りは銀行などから融資を受ける計画としていた。

 SBIの担当者は河北新報の取材に「PSMCの日本進出をSBIがサポートするのが当初の趣旨。ジョイントベンチャー(合弁)事業だった」と強調した。

 法令に抵触するとの主張には「(主張の)正当性について判断している」と述べるにとどめたが、「いずれにせよスタンスが変化していることは明らか」と指摘した。

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