SUVのトレンドが変化? SUVナンバー1だった日産「エクストレイル」が苦戦する理由とは

日産「エクストレイル」の販売状況に異変!?

 昨今はSUVがブームとなり、各メーカーからさまざまなモデルがラインナップされています。なかでも、日産「エクストレイル」はブームの火付け役ともいえる存在で、2000年に登場して以来、SUV人気をけん引してきました。

なぜ人気落ちた? 人気復活のRAV4と画像で比較!

 長年、SUVナンバー1に君臨していたエクストレイルですが、最近になって販売状況に異変が起きているそうです。一体、エクストレイルに何が起こったのでしょうか。

日産「エクストレイル」(3代目)

 日本自動車販売協会連合会のデータによると、エクストレイルは2019年1月から6月で2万2603台を記録して、全体の21位にランクインしました。

 2019年4月から9月は1万6229台を販売したものの、30位に下降しています。これは、1万7378台を販売して27位になったスバル「フォレスター」よりも少ない台数です。

 日産車のSUVでは「ムラーノ」や「デュアリス」がラインナップから外れて、「ジューク」とエクストレイル以外の選択肢がないことから、エクストレイルを選択する日産派も少なくありません。

 実際、2019年も上旬までは販売が好調で、ライバルのホンダ「CR-V」やマツダ「CX-5」、フォレスターと比べても登録台数で上回っていたのです。

 エクストレイルの潮目が変わったのはある車種の登場からだと、都内にある日産系販売店の営業担当者はいいます。

「2019年4月頃に、トヨタ新型『RAV4』の登場がメディアで報じられたあたりから、動きが鈍くなってきた感じがあります。エクストレイルは発売から6年目となるいまも、高級感のある落ち着いたデザインと優れたオン・オフ性能で、販売は順調でした。

 日産の全車種のなかでも、『ノート』『セレナ』とともに、エクストレイルは常に好調だったのですが、新型RAV4という選択肢が増えたことで、ユーザーの目がトヨタに移ってしまったことは否めないと思います」

 実際、登録台数データを見ると、2019年4月から徐々に台数を減らして、7月のランキングではフォレスターよりも下になっています。

 一方、発売以来順調に販売台数を伸ばし、ヒット作となった新型RAV4。人気の要因は、アメリカ市場優先を前面に押し出したラギッドなデザインと、オフロード色を強めた性能やイメージといわれています。

 新型RAVが人気の理由について、首都圏にあるSUV専門店の関係者は次のように語ります。

「新型RAV4のイメージというのは、かつてエクストレイルが捨ててしまったオフロード色なのです。アメリカでもそうですが、日本でもSUVにタフなイメージを求める人は少なくありません。

 とくにアウトドアレジャーがブームの昨今、SUVはライフスタイルを演出するアイテムとして考えているユーザーが多く、スズキ『ジムニー』が大ヒットしたのも、そういった理由があると思います。

 現在のSUVのトレンドを考えると、現行エクストレイルは急激にイメージが古くなってしまったのではないでしょうか」

3代目で大きく方向転換したエクストレイル

 初代エクストレイルは、2000年に発売されました。ライバルだったRAV4やCR-Vに比べて、オフロード色を前面に押し出した異色のライトクロカン4WDとして登場しています。

日産「エクストレイル」(2代目)

 200万円台というリーズナブルな価格で販売され、さらに荒野や雪山を疾走するエクストレイルとエクストリームスポーツのイメージCMも人気となり、キャンプ場やスキー場などでは多くのエクストレイルであふれかえったほどです。

 2007年に2代目にフルモデルチェンジすると、ヘビーデューティなイメージはさらに強くなり、4WDシステムにブレーキLSDトラクションコントロールを付加した「オールモード4×4i」を採用。さらに、ルーフレール内に前照灯をおさめた「ハイパールーフレール」といった斬新なシステムも設定されるなど、初代よりもさらに人気を博しました。

 初代、2代目は比較的コンパクトだったエクストレイルですが、3代目となる現行モデルではそれまでのイメージを一新。ルノーと共同で開発したプラットフォーム「CMF」を採用し、ボディサイズを拡大しました。

 イメージも北米市場を意識して高級感があり、かつ都会的なスタイルに転換。それまでのタフギアなイメージが薄れたことで、3代目の発売当時は、初代、2代目のファンから落胆の声が聞かれたものです。

 賛否両論があった3代目エクストレイルですが、当時は同じデュアリスが人気だったこともあり、その上をいくサイズのSUVとして販売台数を伸ばしました。

 また、フォルムこそオンロードイメージになってしまいましたが、「オールモード4×4i」や「アクティブブライドコントロール」などオフロードを意識した装備を採用していることから、アウトドア派から支持を得ました。

 さらに、安全装備を一気に進化させたことから、それまでSUVに興味のなかった層の取り込みに成功したといえます。

※ ※ ※

 エクストレイルが分類されるミドルサイズSUVは、前述の通り、RAV4、CR-V、CX-5、フォレスター、さらにトヨタ「ハリアー」、三菱「アウトランダー」などが群雄割拠する激戦地帯です。

 最近では、RAV4に加えてCR-Vが新型モデルとして国内市場に復活し、フォレスターはフルモデルチェンジをおこなっています。

 一方、エクストレイルといえば、2019年1月に「エクストレイルAUTECH」を追加した程度に留まっています。

 ただし、エクストレイルも2020年から2021年にかけて、フルモデルチェンジするのではないかという噂があります。

 1.5リッター e-POWERや三菱「アウトランダー」と同じPHEVを搭載するのではないかとか、コンセプトカー「クロスモーション」をベースにしたデザインになるのではないかなど、予想されています。

 エクストレイル改めて見ると、クルマとしての魅力はまだまだ褪せていません。

 次期モデルは現行モデルのDNAを色濃く残すのか、もしくは現在北米で人気の分厚いマスクに大変貌するのか、日産を支える基幹モデルであるだけに期待が寄せられます。

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