「人生100年時代」といわれる今、50代は人生の折返し地点ともいえます。
近年、大企業が早期希望退職者を募集するニュースをしばしば耳にしますね。
「早期退職希望制度」とは、その名の通り定年前に自主的に退職をするための制度です。退職金の上乗せなど、通常の退職理由より有利な条件が適用されます。コロナ禍での業績悪化に伴い、人員整理の一つの手法としてとりいれる企業も見られますね。
そんないま、50代でリタイヤを迎え、セカンドライフに突入するケースを見聞きすることが、以前より増えているのではないでしょうか(※編集部注)。
今回は、老後生活にむけて徐々に意識が高まる50代の貯蓄事情を解説したいと思います。
【※参考記事】50歳を超えてから「月30万円の不労所得」を作る4つの方法(https://limo.media/articles/-/24980)
50代世帯の貯蓄額「平均と分布」が丸わかり!
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年調査結果」をもとに、50代の貯蓄金額について見てみましょう。
二人以上世帯の金融資産保有額(金融資産非保有世帯含む)
平均…1684万円・中央値…800万円
50代世帯の貯蓄事情「平均・分布」丸わかり! (/mwimgs/1/5/-/img_15dfeda972e1bde15ddfdbbc76090a13268894.jpg)
拡大する(/mwimgs/1/5/-/img_15dfeda972e1bde15ddfdbbc76090a13268894.jpg)
貯蓄ゼロ世帯は何割?
※平均値は一部の大きな数字につりあげられるため、数値を小さい順に並べてちょうど真ん中にくる中央値を参考にすると、より現実的です。
1000万円以上の貯蓄がある世帯は全体の約40%を占めている一方、貯蓄を全く持っていない世帯は約13%もいます。
また、2019年に話題となった「老後2000万円問題」以降、貯蓄額2000万円が意識されるなか、実際に2000万円以上保有している人は約25%、4世帯に1世帯という計算です。
今後は早期退職者が増えて、退職金なども含めると貯蓄の金額にさらに差が出てくることでしょう。
“THE日本人”の資産バランス! ~50代世帯の貯蓄の内訳大解剖!~
50代世帯の貯蓄平均額である「1684万円」を、金融資産の種類別に分解すると、以下のようになります。
二人以上世帯の金融資産保有額別の分布
(金融資産非保有世帯含む)
預貯金:633万円(うち定期性預貯金 381万円)
金銭信託:18万円
生命保険:350万円
損害保険:44万円
個人年金保険:146万円
債権:96万円
株式:189万円
投資信託:113万円
財形貯蓄:86万円
その他:10万円
金融庁「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議(2017年)」の説明資料によると、一般的な日本の家計における金融資産の内訳は、半分以上が預貯金、約3割が保険や年金、残りが株式や投資信託などの資産運用となっています。
50代二人以上世帯は「THE日本人」の資産バランスであることがわかりました。
ちなみに、家計の金融資産の半分以上が株式や投資信託である米国では、家計の金融資産は1995年からの20年間で、約3倍に増えています。(日本は1.15倍)
「貯蓄の中身」が、資産を増やす重要なポイントであるといえそうですね。
資産配分の見直しを
「資産運用」という響きに、株を連想し、バブル崩壊やギャンブルのような「アブないイメージ」をお持ちの方も多いでしょう。
たしかに、日本の株式(日経平均株価)はバブル崩壊後、長期目線でも大きな上昇は見られません。
一方で、さきほど述べたとおり、米国人が資産の半分以上を資産運用に振り向けられるのは、自国の株式が長期目線でしっかり上昇しているからだと考えられます。
ITバブル崩壊やリーマンショックなど、数々の危機を乗り越えて上昇してきた過去から、投資に対する恐怖心が日本人より強くないのかもしれません。
私たち日本人でも、今やグローバル企業の製品やサービスを使うことは当たり前となりました。
日本の株式にこだわらず、そうした世界で活躍する株式に分散して資産運用をすることを、私たちも検討してもいいかもしれませんね。
金利のつかない預貯金のほんの一部分でも、資産運用に振り向けて、老後資金を少しでも増やす行動をはじめてみませんか。
老後の暮らしのために、今日からできることとは
そうはわかっているけれども、知識もないし、なにからはじめたらいいかわからないという方、まずは自分自身の貯蓄額と貯蓄内容を把握することから始めましょう。
勧められてとりあえず契約した保険や投資信託は、どんな内容で、いくらの評価になっているでしょうか。
また、今後のライフイベントを想定することや、セカンドライフのあり方を考えることも、今日からできることのひとつですね。
実際に資産運用を始める際には、自分にあった金融商品・運用スタイルを見極める目が大切となります。まずは、インターネットや書籍を活用して、「お金の勉強」から始めてみませんか?
その小さな行動が、人生の大きな一歩となるきっかけになるかもしれません。
参考資料
金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]令和2年調査結果」(https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yoron/futari/2020/)
金融庁「家計の安定的な資産形成に関する有識者会議(平成29年)」(https://www.fsa.go.jp/singi/kakei/index.html)
同説明資料(議事録・資料等 第1回 平成29年2月3日開催)(https://www.fsa.go.jp/singi/kakei/siryou/20170203/03.pdf)