WHOが韓国などの感染増を懸念、世界流行に「備えを」

【ジュネーブ=細川倫太郎】世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は24日の記者会見で、韓国とイタリア、イランの3カ国で新型コロナウイルスの感染が急増していることに対し「深く懸念している」と述べた。現状では世界的な大流行を意味する「パンデミック」には至っていないと強調したが、各国がそれに備えておくことは重要との認識を示した。

韓国では南東部の大邱(テグ)市の教会で集団感染が起き、感染者は830人を超えた。イランでは死者数が12人に達したほか、イタリアも北部地域でここ数日間で一気に感染が拡大している。WHOはイランとイタリアに専門家を派遣することを決め、感染状況の把握や当局への対策の助言などを進める。

テドロス氏は現在の状況について「我々が目にしているのは、エピデミック(地域的な流行)だ」と指摘し、パンデミックという言葉は事実に即していないとした。ただ、「パンデミックになる可能性にも備え、我々はできる限りのことをしなければならない」とも話した。

パンデミックの判断について、テドロス氏はウイルスの地理的な広がりや疾病の重症度、社会的な影響度などが基準になると説明した。各国に対策を急ぐよう求め、特に医療関係者や高齢者、医療態勢が脆弱な国を保護することを優先課題に挙げた。

中国湖北省武漢市や北京などを訪れたWHOの国際調査団が活動を終えたことも報告した。テドロス氏によると、調査団は中国での流行は1月23~2月2日がピークだったと分析。武漢市での致死率は2~4%、それ以外の地域では0.7%とした。軽症者は約2週間、重症者は3~6週間で回復することを確認した。

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