Z世代の目標年収「400~500万円」 収入より「ワークライフバランス」重視 国民負担率は約5割 “昔の20代” と手取りに差

Z世代の多くが現実的な将来の年収目標として400~500万円をあげており、収入よりもワークライフバランスを重視しているという調査結果が発表された。

目標年収は400~500万円、ワークライフバランス重視

教育や人材事業などを手がけるヒューマンホールディングスが、Z世代の仕事観を調査した。(調査期間2024年4月25~26日、調査対象:20~28歳男女1000名)

将来の目標年収は男女ともに、400~500万円未満が1位で、国税庁が発表した2022年の平均年収が458万円のため、“人並みでいい”ということだろうか。

「あなたにとって『自分らしく働く』とは?」という質問には「収入を増やすため」は、1割未満の9.4%に留まり、「ワークライフバランスを保ちながら働く」が17.6%、「仕事とプライベートをきっちり分ける」が13.9%で上位となった。

「職場に導入してほしい制度」では、「週休3日」が40.9%、「副業・兼業の許可」26.7%、「フレックスタイム」26.4%と続いている。

「昔の20代」と手取り収入に差…副業・資産形成に関心

「Live News α」では、エコノミストの崔真淑(さい・ますみ)さんに話を聞いた。

堤礼実キャスター:
自分らしい働き方を求める若い世代について、崔さんはどうご覧になりますか。

エコノミスト・崔真淑さん:
将来の目標とする平均年収を現実的な400~500万円とするなど、非常に堅実であり、しっかり将来を見据えた若者が増えていることを示唆していると思います。

また、副業については関心が非常に高いというのも興味深いです。今回の結果は、中高年層からみたら意外に感じるかもしれないが、これは社会的な変化も影響していると考えています。

堤キャスター:
社会的な変化、具体的には。

エコノミスト・崔真淑さん:
そもそも今の若者と高齢者が20代だった頃とでは、所得のなかに占める消費税や社会保険料負担などの割合を示す国民負担率が大きく違います。

高齢者層が現役の頃は、国民負担率は20~30%台。それが今では50%を越えようとしており、手取り収入に大きな差があります。

堤キャスター:
いま生活に回すお金だけではなく、将来への不安なども影響しているのかもしれませんね。

エコノミスト・崔真淑さん:
国民負担率が高いのに、いま想定されている年金額が自分たちには支給されないかもしれない、そうしたことを察しているとも思います。だからこそ、手取り収入を増やす副業や、その先にある資産の形成に関心を持つ若者が増えていると思います。

政府も「貯蓄から投資へ」の流れを促すために、iDeCoNISAを充実させています。ただ、若年層投資参加は増えたものの、辞めた人も一定数存在します。投資への流れを加速させることで、将来への不確実性を払拭するのはこのままでは難しいのかもしれません。

資産運用の壁の一つに奨学金返済

堤キャスター:
この状況を打破するには、どうしたらいいのでしょうか。

エコノミスト・崔真淑さん:
各種研究をみると、若年層の資産運用の壁の一つに、奨学金返済があげられています。新社会人の約6割は学生時代に受けていた奨学金の返済義務がある。つまり、2人に1人以上はローン返済を背負って社会人デビューをするという調査もあります。

経済の再生には若年層の消費活動の活発化が重要です。返済義務のない給付金奨学金を増やすなど、若者向け施策の充実が求められます。

堤キャスター:
今を生きながら将来のことも考え、限られた時間をどう使うのか。ここでは悔いのないように挑戦することも大切ですし、チャレンジしやすい環境作りもまた求められているように思います。
(「Live News α」7月22日放送分より)

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