ネピアグラス、高い除染率効果 弘前大・姜准教授研究

 イネ科のネピアグラスによる放射性セシウムの除染効果が、高い除染率で知られる同科のソルガムの最大23倍あることが弘前大農学生命科学部の姜東鎮准教授(環境農学)の研究で分かった。ネピアグラスを用い、福島第1原発事故の影響を受ける福島県内でバイオエタノールをつくる計画もあり、姜准教授は「除染と農地保全の両方が可能になる」と期待する。
 昨年5~10月、居住制限区域に指定されている福島県浪江町田尻地区の水田などで実証実験をした。1平方メートル当たり11株植えた場合、同じ敷地内で栽培するソルガムと比べ、6~23倍のセシウムを除染したという。半年で高さ4メートルになる成長力と、1ヘクタール当たり年間最大85トンという収穫量の多さから、多くのセシウムを吸収・除去できたとみられる。ネピアグラスは東北では穂が出ず、越冬もできないため、吸収したセシウムが拡散しない特徴もある。
 ただ、ネピアグラスの除染効果は、土壌に含まれるセシウムの0.7%程度。土壌のはぎ取りなどの本格的な除染の補完的な役割や、はぎ取りが難しい農地の除染などを想定している。
 同大ではネピアグラスに吸収されたセシウムを、完全に除去する手法の確立も目指す。新年度以降、全町避難が続く福島県大熊町などと産官学で、ネピアグラスを活用したバイオエタノール燃料のプラント計画に取り組む。2016年度までに栽培面積を720ヘクタールまで拡大する。
 監修する同大被ばく医療総合研究所の床次(とこなみ)真司教授は「将来は、除染を進めながら、一方でエネルギー資源として事業化を目指す。雇用創出にもつなげられる」と期待を込めた。

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