歩くことによる身体的活動量の増加は健康増進に影響する。世界保健機関(WHO)によると、世界の死亡リスクは1位から順に高血圧、タバコ、高血糖、運動不足、肥満となっている。高血圧や高血糖、肥満は運動不足が起因していると考えられる。また、ある調査では、東京都、大阪府、愛知県のうち、自家用車を利用する割合は東京が約3割、大阪が約4割、愛知が約7割だった。それに比例するように、人口10万人あたりの糖尿病患者の外来数は愛知が200万人弱で最も多く、大阪が150万人超、東京は150万人未満だった。運動不足は健康に負の効果を与えている。
医療費への影響も見逃せない。久野教授らは人の1歩の歩行量で医療費は0.016円削減できるという研究結果をまとめている。高齢者20万人の都市で1人1日2千歩を歩くと、1日あたり32円、1年間で約23億円が削減できる計算だ。「歩くことは運動の基本」と久野教授。にもかかわらず「無関心な人が意外と多い。いかに正しい情報を確実に提供するかが重要な課題だ」という。