小沢事件の不起訴処分の当否を審査した「東京第5検察審査会」(検審)の「起訴相当」議決文にはブッタマげた。
「これこそが善良な市民の感覚」「絶対権力者である被疑者」など感情むき出しの文言ばかり。
法律にド素人の一般市民が審査員とはいえ、あまりに高飛車で敵意と悪意に満ち満ちていたからだ。
検審には本来、審査員の「暴走」に歯止めを掛けるサポート役がいる。審査員に法律解釈や事実関係の説明をしたり、議決文の作成を手伝ったりする補助弁護士だ。第5検審で補助に就いたのは、米澤敏雄弁護士(73・麻生総合法律事務所HPから)だった。
「米澤氏は61年に検事に任官し、5年後に裁判官に転身。岐阜地裁や静岡地裁の所長を務め、東芝ココム規制違反事件やリクルート裁判も扱ったベテランです。90年の平和相互銀行不正融資事件の判決文では、特別背任罪に問われた元監査役に対し『邪道な行為』とキツイ言葉で断じている。第5検審の議決文にも米澤氏が関わっているのは間違いない」(司法記者)
米澤氏は裁判官を退官後、大東文化大法科大学院教授を経て、昨年4月に都内の「麻生総合法律事務所」に勤務。この事務所が3月に都内で開いた創立40周年祝賀会には、自民党の谷垣禎一総裁や、タレントのみのもんたが来賓で出席している。政財界に顔が利くようだ。
事務所を訪ねると、「(米澤氏は)10日まで連休中」(関係者)。
検審の権限が強まった以上、こうした弁護士が国民に説明くらいすべきだろう。
(日刊ゲンダイ2010年5月1日掲載)