トヨタ、次世代送電網 宮城・大衡で導入 基本構想固まる

 トヨタ自動車が宮城県大衡村の第2仙台北部中核工業団地に導入を検討している次世代送電システム「スマートグリッド」の基本構想が固まった。完成車製造子会社のセントラル自動車などが所有する複数の自家発電装置を一元的に管理し、団地内で利用する。非常時には東北電力に買い取ってもらった上で、村役場などに供給する。
 トヨタは実現に向けて年内にも基本計画の策定に乗りだし、団地内の電力利用の効率化と地域の防災機能アップにつなげる方針だ。
 基本構想では、3段階に分けて電力供給先を広げることとした。当初は、セントラルがことし2月に導入したコージェネレーション(熱電併給)設備を使い、トヨタ紡織東北宮城工場など周辺の関連企業に融通する。
 続いて設置が想定される他社の太陽光発電など自家発電分も加え、供給先をトヨタグループ以外の既存施設に拡大。最終的には今後立地する工場も対象とする。発電規模と事業化の時期は未定。
 発電や送電設備の一元的な管理は「F-グリッドセンター」が担う。グループ外への供給開始前に団地の新組織として設立し、融通した電力の料金徴収なども行う。
 基本構想は東北大や宮城県などで構成する検討委員会が昨年10月から、国の補助金を受けて検討していた。今月上旬の報告書には団地内の発電設備増設などに向けて「公的支援が必要」などの項目も盛り込んだ。
 検討委によると、構想が実現すれば団地内全体の使用電力は最大20%の削減を見込めるという。柏木孝夫委員長(東京工業大教授)は「国内工業団地の安定稼働や地域社会の安全維持に貢献できるモデルとなる。電力インフラが未整備な新興国でも応用できる」としている。

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