水の基礎知識

1、水の成分

水に含まれる成分には、ミネラルなど体に良い成分もありますが、鉛やトリハロメタンといった有害な成分も含まれます。その特徴を理解して、できるだけ有害な成分を除去した安全な水を飲むようにしましょう。

■天然水に含まれる代表的な成分

天然水に含まれる代表的な成分は「カルシウム」「ナトリウム」「カリウム」「マグネシウム」の4大ミネラルや「バナジウム」などです。4大ミネラルは、骨や筋肉を作ったり、その働きをスムーズにしたり、命そのものに関わることさえある貴重な成分です。
ミネラルは、体に取り込まれてもすぐに排泄されてしまう性質を持っているので、食事から取る量では間に合わないこともあります。特に、カルシウムは将来骨粗しょう症になる心配がある女性は、できるだけ若いうちから摂取したい成分ですから、毎日飲む水にカルシウムが入っていると安心できます。
4大ミネラルの他に、今注目されているのが「バナジウム」です。日本では、富士山麓から取水できる水だけにバナジウムが含まれています。バナジウムは「血糖値を下げる」作用があることで広く知られるようになりました。糖尿病の予防や血糖値が高めの人には、ぜひ飲んでもらいたい水です。

■水道水に含まれる代表的な成分

水道水は、私たちが安心して飲めるように、いろいろな方法でろ過して、さらに塩素で殺菌されています。水道水は純水のように、完全に水の中の不純物を取り除いているわけではなく、水のうまみ成分でもある4大ミネラルも含まれるため、水のきれいな田舎の水道水はおいしいといわれるのはそのためです。
しかし、水道水には危険物質もたくさん含まれています。そのひとつは鉛で、古い水道管などに使われていることが多く、体に吸収されやすく、排出されにくい性質を持っています。
また、塩素は水を殺菌するのに必要な成分です。しかし、河川などの汚染が進めば進むほど塩素濃度を高くしなければ、追いつかなくなってしまいます。塩素濃度が高くなると身体にも悪影響が心配されます。
塩素が高くなることで、さらに危険度を増すのがトリハロメタンの発生です。これは、塩素消毒が生んだ副産物といわれ、危険な発がん性物質です。他にもアトピー性皮膚炎や喘息を悪化させたりします。

2、水の硬度

硬度とは、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量で分類されます。カルシウムとマグネシウムなどのミネラルの含有量が多い水を硬水、少ないものが軟水と呼ばれています。
硬水・軟水にはそれぞれ特徴があり、いろいろな用途で利用されています。日本各地の名水や、ミネラルウォーターも地域によってそれぞれ硬度が異なります。
WHOの定義では、60mg/l未満のものは「軟水」、60~120mg/l未満のものは「中硬水」、120m~180g/l未満のものは「硬水」、180g/l以上のものは「非常な硬水」と呼ばれ区別されています。

■軟水の特徴

日本で発売されている天然水のほとんどが軟水で、私たちが日頃使っている水道水も、硬度80前後の軟水です。そのため私たち日本人の生活は、軟水とは切っても切れない関係にあります。
軟水は飲んだ時に口当たりが良くまろやかです。味に癖がなくてのみ安いのが特徴です。また、赤ちゃんのミルクを作る水にも適していますし、飲みやすいことからお茶やお酒の水割り、薬を飲む水にも最適です。
また、軟水は石鹸の泡立ちも良くしてくれるので、洗濯の際にも重宝します。
料理にも役立つのが軟水です。まろやかで口当たりが良いことから、特に和食に合うと言われています。昆布やカツオで取った出汁を活かし、素材を大切にした調理法で古くから日本で親しまれている和食の味を引き立ててくれるのが軟水です。軟水の力で出汁のうまみ成分が引き出されるため、煮物に適していると言われています。
お米を炊く際にも軟水が大活躍です。硬水でご飯を炊くとゴワゴワと硬くおいしくありませんが、軟水を用いるとふんわりやわらかなご飯に炊き上がります。その他に、スープに用いるとのど越しがよくまろやかな味に仕上がると言われています。
軟水はカルシウムやマグネシウムの含有率が少ないため、素材の味が損なわれにくいので、素材そのものの味を活かした料理全般に適していると言えるでしょう。

■硬水の特徴

動脈硬化を予防し、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを減らすためには硬水がいいといわれています。カルシウムやマグネシウムを摂取することで、血液をサラサラにしてくれる効果が期待できることが理由です。スポーツの際のミネラル補給や妊産婦のカルシウム補給、便秘やダイエットにも効果的だと言われています。
腎臓に障害がある方は、硬水の中に含まれるカルシウムを充分にろ過することができずに結石などのリスクが高まるので硬水は不向きです。また、胃腸が弱い方もおなかを下しやすいといわれています。

■硬水・軟水は料理によって使い分ける

和食には硬水は不向き
硬水に多く含まれているカルシウムやマグネシウムは第2族元素に属しており、この第2族元素は有機酸と結びつきやすいという特徴があります。有機酸として代表的なのがグルタミン酸です。グルタミン酸のモノナトリウム塩は昆布だしのうまみ成分で、カルシウムやマグネシウムと結合することで味が悪くなると言われています。そういったことから和食には、味を邪魔されない軟水が適していると言われているのです。
西洋の料理や、コーヒーには硬水
反対に煮崩れを防ぎたい料理には硬水を用いると良いでしょう。西洋の煮込み料理に硬水が適しているのは、形を崩さないように煮込む料理が多いからです。硬水には肉の臭みを抑えたり、灰汁を取る効果があるため、洋風だしを取ったり肉を使った煮物料理、鍋料理に最適です。パスタを茹でる際にコシを与えてくれる効果もあります。また、硬水そのものには独特の苦みやえぐみがあるものの、コーヒーに用いると、渋みが抑えられマイルドな味になるとともに、コーヒー本来の風味を引き立ててくれる効果があります。こうしてみると料理の特徴を活かして、軟水と硬水とをうまく使い分ける必要がありそうですね。

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