「禁酒の約束が守られていない」として東北大が仙台市青葉区にある学生自治寮「明善寮」の寮生105人に全員退去を通知し、騒動になっている。寮生たちは「規則を守っていた学生も多い。全員退去はやり過ぎだ」と反発するが、大学当局は一歩も引かない構えだ。
東北大学生支援課によると、飲酒を禁じた4月24日以降も寮内でビールの空き缶が大量に見つかったり、共用スペースで飲酒による嘔吐(おうと)が確認されたりしたという。
このため大学は「改善が見られない」として15日、寮生全員に9月30日までに退去するよう通知した。
明善寮に入寮できるのは学部1、2年の男子に限られており、大半が未成年者。飲酒には、これまでも保護者から何らかの対処を求める声が上がっていた。
東北大総長特別補佐(学生支援担当)の小田中直樹教授は「問題の中心は未成年者の飲酒と酒の強要。『飲んで当然』という寮内の雰囲気をリセットしたい」と話す。
これに対し、寮生でつくる明善寮委員会の金子駿斗委員長(19)は「寮内の飲酒問題は改善している。大学は、飲酒が当たり前だった昔のイメージで強引に処分しようとしている」と真っ向から反論する。
大学と寮委員会は25日、話し合いの場を設ける。小田中教授は「全員退去は決定事項。覆ることはない」と突っぱねるが、金子委員長は「飲酒していない寮生を退去の対象外とするなど穏当な対応を求めたい」と訴える。
大学は寮生に別の寮を仲介するなどして転居を促す方針。全員が退寮した後、トイレの洋式化など施設を改修し、2015年度の新入生を受け入れる。
明善寮は仙台市内に6カ所ある東北大の学寮の一つ。北大恵迪(けいてき)寮、東大駒場寮(現在は廃止)、京大吉田寮と共に日本4大自治寮とされる。