残暑がつつく暑い日であった。曽田君が自分のスボンサーであるTハウスの分譲の件で企画などを頼みたいと、千田部長から話があった。僕は早速打ち合わせを始めた。曽田君はちょっと頼りない感じのする、今年二年目の新人で、ちょっとTハウスとトラブっているようだった。僕は何かあったのか子供をあやすようにたずねた。
「実はですね、以前Tハウスの担当が会社の人達と飲みに行ったんだそうです。その店に後から社長があの北陸社の早川と一緒に飲みに来たんだそうです。Tハウスの人達がいるのも知らないで、二人でべたべたして、いちゃついてるんだそうです。あの社長スケベだなぁって見てたんだそうです。しばらくして、社長がTハウスの人達に気づいたみたいで、いきなりカウンターのボーイからあちらのお客様からってビールが来たんだそうです。それはそれでいいんですけど、Tハウスの担当は二人とも結構年とった女性ですごいブスなんです。もちろん結婚なんてしてませんよ。だから、なんかカチンときたみたいで。
『ビールの一杯や二杯で不倫の口止め料かよ。そんなもんには騙されないぞ!。』 って怒ってるんですよ。それからですよ、なんか提案すると『愛人作って遊んでるような社長のいる会社には騙されないぞ。』って言って、何も受け付けてくれないんです。ほんとに、どうしていいのやら・・・。愛人作って遊ぶのは勝手にしてもらいたいんですけど、どこに人の目があるか分からないんですから、人に迷惑かからないようにやってくださいよ。取引を切られても私知りませんから。」
曽田は怒り心頭といった感じで不満をあらわにした。この件は、僕にはどうすることもてきない事であった。
その後、僕は企画をまとめ、提案し、何とかその仕事は続いた。それにしても、なんだかなぁ、この会社は・・・。