塩害の農地に南米原産の雑穀キヌア実れ 仙台・荒浜で復興プロ

 東日本大震災で津波被害があった仙台市若林区荒浜地区の農業復興を目指す「荒浜プロジェクト」は、現地で南米原産の雑穀「キヌア」の試験栽培を始めた。津波による塩害農地の利用策を探る取り組み。8月中旬の収穫を目指す。
 種まきが14日あり、被災農家でつくる荒浜実行組合や仙台農協の関係者らプロジェクトメンバー約10人が参加した。キヌアの栽培や普及に取り組んでいる東京農大講師の日高憲三さん(50)の指導で、約2アールの畑に直径約2ミリの種をまいた。
 荒浜実行組合は昨年、除塩後の農地約40ヘクタールで大豆の作付けを試験的に行ったが、収穫量は見込みの3割にとどまった。
 組合長の佐藤善一さん(66)は「震災で農地が地盤沈下したため、塩分濃度が高い地下水の影響を受けている。コメ以外にどんな農作物の栽培ができるか試したい」と試験栽培の狙いを説明する。
 日高さんは「キヌアの品種は約3000種あり、今回は数種類の種をまいた。どれが荒浜の農地に適しているか見極めていきたい」と話した。
[キヌア]ボリビアやペルーが原産の塩害に強い一年草。収穫期には茎が約1メートルに成長し、赤い穂を付ける。脱穀した種子が食用となり、ミネラルや食物繊維を多く含む。国連食糧農業機関は2013年を「国際キヌア年」に制定。日本でも栄養価の高い穀物として注目を浴びている。

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