宮城県の2019年のホヤ生産量は5200トンで、北海道の5800トンに次いで2位となり、東日本大震災からの復旧が進んだ14年以来維持していた首位の座を取って代わられたことが農林水産省の漁業・養殖業生産統計で分かった。韓国による宮城、岩手、福島を含む8県産水産物の禁輸措置に伴い、宮城で水揚げ量を調整する一方、北海道が韓国向けに生産を増やした事情が背景にある。
統計によると、震災前の宮城のホヤ生産量は約7000~1万トン。現在の方式で統計を取り始めた1970年ごろから他の産地に大差をつけてトップを守り、うち7、8割を韓国に輸出していた。
震災の影響で宮城の11、12年の統計はなく、養殖業が徐々に再開した13年は94トンの3位まで回復。1位は北海道の566トン、2位は青森県の225トンだった。14年は宮城が4069トンで首位に返り咲き、北海道が989トンで続いた。
大消費地の韓国が東京電力福島第1原発事故を理由に13年から8県産水産物の輸入を禁止すると、国産ホヤの販路が失われた。宮城県漁協(石巻市)は16年に水揚げした1万3000トンのうち7600トンを、17年は1万2000トンのうち6900トンを廃棄処分した。
国内消費を急拡大させるのは困難で、水産庁はホヤ養殖業者に助成制度を活用したワカメなどへの魚種転換を推奨。18年に県内初の生産調整を行い、水揚げを5479トンに抑えた。
生産量が急伸した北海道は17年に5287トン、18年に4492トンを水揚げし、ともに2位だった。今後も韓国の禁輸が続けば、宮城の生産は年5000~5500トンとなる見込み。
県内産地では5月中旬以降、ホヤから国の規制値を超えるまひ性貝毒が相次いで検出され、旬を迎えた今もほとんどの海域が出荷を自主規制している。
県漁協の平塚正信経済事業本部長は「韓国の禁輸の影響は大きく、やむを得ない結果だ。今年は貝毒による出荷自粛も続き、生産者は悔しさが増すばかり。三陸産ホヤの品質には自信があるので、販促活動により力を入れたい」と話した。